牛を馬にする

# うしをうまにする

牛を馬にする

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2023/03/23

種類:大阪かるた
牛を馬にする

牛を馬にする」ということわざを手がかりに、現代の政治・産業・制度改革における“乗り換え”の意味を批評的に読み解くエッセイ。単なる効率化ではなく、価値判断や社会的影響を含む選択の美学として、制度疲労や技術革新の現場を描き出す。変化の中で何を守り、何を手放すか——その問いに向き合う思索的な一編。


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「牛を馬にする」——制度疲労と乗り換えの美学

「牛を馬にする」ということわざは、遅くて非効率なものを捨て、速くて有能なものに乗り換えることを意味します。しかし、現代の政治や産業の現場では、単純な乗り換えでは済まない複雑な選択が迫られています。制度疲労、既得権、国際情勢の揺らぎ——その中で「馬」に見えたものが「牛」に戻ることもありますし、牛の粘り強さこそが必要とされる場面もあります。

たとえば、日本の労働市場改革です。長年続いた年功序列・終身雇用という「牛」は、時代遅れとされ、成果主義やジョブ型雇用という「馬」への乗り換えが進められてきました。しかし、実際には企業文化との摩擦や、若年層の不安定雇用の増加など、乗り換えの副作用が顕在化しています。馬は速いですが、乗りこなすには技術と覚悟が必要です。

また、生成AIの導入と教育現場の対応も「牛を馬にする」の典型例と言えるでしょう。紙と鉛筆による学習から、AIを活用した個別最適化へと移行する流れがあります。しかし、教育の本質は「速さ」ではなく「深さ」であり、馬に乗り換えたつもりが、学びの根幹を見失う危険もあります。ここでは、牛のような粘り強い対話や、手間をかけた思考が再評価されるべきかもしれません。

さらに、地方自治体の行政DX(デジタルトランスフォーメーション)も注目に値します。紙の書類、窓口対応という「牛」から、オンライン申請やAIチャットボットという「馬」への移行が進んでいますが、高齢者や情報弱者にとっては、馬は速すぎて乗りこなせない存在です。ここでも、牛の歩みを尊重する設計が求められます。

「牛を馬にする」とは、単なる効率化ではありません。それは、何を捨て、何を得るかという価値判断であり、時に「牛を馬にしたつもりが、馬の暴走に振り回される」こともあります。逆に、牛のような旧来の仕組みが、社会の安定や信頼の土台となっていることもあります。
だからこそ、今の時代に必要なのは、「牛を馬にする」ことそのものではなく、牛と馬を見極める眼差しであり、乗り換えた先にある風景を想像する力です。変化は美しいものですが、変化の中で何を守り、何を手放すか——その選択こそが、私たちの未来を形づくるのではないでしょうか。
 

大阪かるた

牛を馬にする

意図:
本来の意味とかけ離れたイラストです。まぁしゃれですね。
作画:
自然界では起こり得ない牛と馬の混血。遺伝子工学を駆使してやってみました。
実際にできるかどうかは責任を負いませんよ。
牛を馬にする のメイン画像
「牛を馬にする」(大阪かるた)の解説(私見)
さぁ、どこが牛でどこが馬でしょうか。
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