今日は、暑かった。それは間違いない。
だが、街を歩いていると、ふと涼しい風が頬をかすめた。 見上げれば、空は相変わらずの夏空である。 それでも、よく見ると——ちぎれた雲が、いくつか浮かんでいた。
あの、まとまりきらずに千切れて漂う雲は、 気象用語では「ちぎれ雲(スカッド)」と呼ばれ、 上空の風が強まり、大気が不安定になり始める頃によく現れるという。
つまり、夏空の下に、季節の変わり目の証拠が、 こっそり紛れ込んでいたわけだ。 暑さの中の小さな予兆を見つけて、 今日は少し得をした気分になった。
この気分を、そのまま絵にした。
「秋空を眺めている若い女性」
夏の名残と、秋の気配が入り混じった空を、 若い女性がふと見上げている、そんな一枚である。
暑さの中にも、確かに季節は動いている—— その、ほんの一瞬の気づきを、表情に込めたつもりだ。
実は、同じ構図で男性版も作ってみた。
結果、あまり面白くなかった。
理由は、自分でもうまく説明できないのだが、 秋のアンニュイな空気は、どうも若い女性の特権らしい。
物思いに沈む横顔、風になびく髪、遠くを見る目—— 同じ仕草でも、男がやると、ただの体調不良に見えてしまう。
以前、この件について「少数派の男性たち」という記事を書いたが、 今回もまた、男性陣は舞台裏に下がってもらうことになった。 主役の座は、変わらず彼女たちのものである。
ちぎれ雲を見つけたのは、まだ夏の盛りの出来事だ。 本格的な秋には、まだしばらくかかるだろう。
それでも、季節の先取りはうれしい。 本物の秋が来る前に、絵の中の彼女たちには、 一足先に、秋の空気を感じてもらうことにした。
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