「女性はパンケーキが好き」——
この結論に至ったとき、私は自分の観察眼を褒めるべきか、
それとも世界の不思議さに肩をすくめるべきか迷った。
なにしろ、私の人生のあちこちに、
気づけばパンケーキが顔を出してくるのだ。
まるで“甘い円盤のストーカー”である。
年に一度の沖縄旅行。
ホテル選びは家内に任せている。
私は「海が近い」「部屋が広い」など、
もっともらしい理由が返ってくるものと思っていた。
しかし、家内の答えはこうだった。
「ラウンジのパンケーキが美味しそうだったから」
パンケーキが旅の決定権を握っていた。
海も夕日も、パンケーキの前では脇役である。
沖縄の観光協会は、もっとパンケーキを推すべきだと思う。
思い返せば、数十年前のハワイ旅行。
朝の光の中、家内は窓の外を眺めながら言った。
「外を見ながらパンケーキを食べるのが夢だったの」
夢の規模がちょうどいい。
叶えやすいし、叶えたときの満足度も高い。
パンケーキは、コスパの良い夢の象徴なのかもしれない。
部下の女性たちを家に招いたパーティーの日。
私は軽い気持ちで言った。
「パンケーキなんて……」
その瞬間、空気が凍った。
次の瞬間、家内と女性陣から総攻撃。
あれはもう、パンケーキ擁護団体の緊急招集だった。
私はその日、学んだ。
パンケーキを軽んじると、社会的に危険である。
沖縄、ハワイ、パーティー。
三つの出来事をつなぐと、ひとつの真理が浮かび上がる。
女性はパンケーキが好き。
そして、もう一歩踏み込むとこうなる。
パンケーキと女性のイラストを描けば、売れる。
もはやこれは市場調査ではなく、
私の人生が導き出した“経験則”である。
パンケーキは、朝食なのかデザートなのか曖昧だ。
しかし、その曖昧さが女性たちの心をつかんで離さない。
丸くて、甘くて、ふわふわしていて、
見た目がすでに「幸せです」と主張している。
私は今日もまた、
パンケーキと女性のイラストを思案しながら、
「この甘い円盤は、いったいどこまで私を導くのか」
そんなことを考えている。
そしてその堂々巡りすら、
やっぱり少し愛おしい。